
「1週間~2週間の短期国際交流(海外研修)が多くの高校や大学で行われてるけど、そんな短期間で英語が上達するものなの?高いお金を出して外国に行く意味あるのかな?在学中に行けるチャンスがあったら行っといた方がいいニョロか?」

「へび吉さん、間違ってる。英語はそんなに上達しないよ。そもそも目的が英語力を向上させることではないんだ。国際交流の真のねらいは別にあるから説明するね。もし海外に行ったことが無いなら、若いうちに行っとくことを強く勧めるケロ」
近頃、高校や大学で国際交流が活発になってきています。現在はコロナ禍であるため、一時的に交流は下火になっていますが、コロナが治まってから再び活発になると思います。
それらの多くが、春休みや夏休みの期間を利用した1~2週間の短期交流なわけですが、私が教員をしていた時に、参加希望者に理由をたずねたら、「英語が上達するからです」と答えた人が結構いました。
ん?英語の上達のため・・・なの?
違う 違う そうじゃ そうじゃな~い♪
違う、そうじゃない by 鈴木雅之 作詞:朝水彼方、作曲:中崎英也
海外に行ったら学ぶべき「もっと重要なこと」があります。これを意識して参加するのとしないのとで、学びに大きく差が出ます。ですから、これから「(短期の)国際交流活動に参加しようかな」と考えている高校生・大学生に向けて、「学んでくるべきポイント」を6つ書きましたので、ぜひ持って帰ってください。
では、始めます。
短期国際交流、そのねらいは英語力の向上なのか?

1~2週間、海外に行ったからといって英語能力が上達するのか。。。
早速、結論です。上達しませんね。
いや、ほんのちょっとはレベルアップするかもしれませんが、微々たるものです。知ってる単語がちょっと増えたり、簡単なあいさつ程度の英語は(帰国後すぐは)口から出てくるかもしれませんが、すぐ元に戻ります。
考えてみてください。語学って短期間でどうにかなるものではないですよね。時間をかけないと定着もしません。徹夜して覚えた英単語、翌日の夜にはほとんど忘れるのがオチです。語学は一日にしてならず。
ですから、半年以上の中長期の期間、外国に滞在して英語を日常的に使いガチで勉強すれば英語能力は上がりますが、 1~2週間程度の短期間ではさほど変わりません。
自分の英語力を上げるために国際交流活動に参加することは間違っています。
短期国際交流のねらい6選
では、高校や大学で行っている国際交流に参加することで得られる学び(気づき)とは何なんだ?というと、以下で述べる6つの項目になります。

自分の英語力に自信を持つようになる “通じるんだ!”
自分の英語が通じていることに多少なりとも感動します。この感覚を忘れないことです。
私達は義務教育を含め英語を10年以上、学校で勉強します。
でも、学んだ英語で海外の人とコミュニケーションをとるなんてこと、滅多にありませんよね?いや、都会に住んでる人なら海外からの訪問者も多いでしょうから、そういう機会は多少あるかもしれませんが、地方住みなら絶望的です。自ら英会話学校に通わない限り、ALTの先生くらいでしょうね。
ALT(外国語指導助手)とは、Assistant Language Teacherの略で、外国語を母国語とする外国語指導助手をいいます。小学校や中学校・高等学校に児童・生徒の英語発音や国際理解教育の向上を目的に各教育委員会から学校に配置され、授業を補助しています。
Heart English School
だから、「英語は習ったけども本当に意思疎通に使えるの?海外の人に通じるのかしら?」という疑問符が付いたまま社会に出て行く人が圧倒的多数なわけです。そしていきなり実践。練習なしのいきなり本番。そりゃ大ケガするって。
学校の国際交流に参加すると、若いうちに「お!なんか知らんけど俺の、私の、英語が通じた!」「英語の先生、なんか怪しかったけど、間違ったこと教えてなかったんだ!」というように、自分の英語力に自信を持てるようになります。 英語をしっかり勉強してきた人に限って、ですけどね。
英語の大切さを強く認識する “意思疎通が全然できなかった”
一方、しっかり英語を勉強してこなかった人は、国際交流に参加するとこう感じます。
「意思疎通が全然できなかったんだけど、、、」「ヤッバ!なんで英語をもっと勉強してこなかったんだ~泣」
ここで英語の必要性(重要性)に気づくんですね。一度痛い目に合わないと気づかない。
ここで気づくだけでも「参加した見返り」があったと思いますよ。その後の英語学習に対するモチベーションが全然違います。この「気づき」、重要です。
外国の人と接する恐怖感を取り去る
日本国内で何か困ってそうな外国人旅行者を見かけても、「近寄りたくない、関わりたくない、だから素通りしま~す」そう思ってる人が少なくないはず。
外国人に対する恐怖感って「リアルに会って、同じ空間で同じ時間を共有する経験」をしないと取り除けないです。だから、国際交流に参加することで「あれ?思っていたほど怖がる必要なかったな」と感じるようになります。
私も25歳までは、もう恐怖しか無かったですね。東京へ出張に行ったとき、西洋人の旅行者から何か質問されたんだけど、???イミフ。はい、ムリ~みたいな感じ。
それを克服したのは、駅前留学のNOVA
に通い出してしばらくたった頃。最初はマンツーマンで話すのは緊張でガクブルでした。ガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル でも、頻繁に顔を合わせていると、それまで何を怖がっていたのか?と不思議に思えました。
のちの英検合格にも役だったので、「よくぞあのとき勇気を出してNOVAに通い始めたな」と過去の自分を褒めたいです。
NOVAが多少なりとも役だった英検の合格体験記を参考までに載せておきます。
外国の人の考え方がいかに多様か実感する
海外の人と話すと、同じ国に住む友人からは決して出てこないような
- 「え!そんなアイデアがあったの?!」
- 「へ~、そんな考え方もあるのね!」
という、思いもしないことに驚かされます。
その反対も然り(しかり)です。私の発言に驚いてくれたり、唖然としたり、ショックを受けてました。
こりゃ、アイデア出しは多国籍チームの方が断然有利ですね。
日本の文化がいかに特殊か気づく
これは日本の外に出てみないと気づきません。
日本の常識 ≠ 世界の常識
世界全体でみたら、明らかに日本の方が異常だと思われる超レアな文化が、日本には結構あります。
例えば、時間通りに来る公共交通機関、ゴミ箱がないのに道にゴミがあまり落ちてないキレイさ、異常だよ。
偏見を無くして外国に対する興味を持つ
国際交流に参加して、どこかの国に派遣されると、その国のことに興味がわきますよね。
今まで「日本以外の国のことは、ニュースや新聞の中でのこと、自分とは関係ない」と思ってきたとしても、実際に行った国に住んでる人や生活環境を生で見ると、親しみが湧いたり、「こんなことで苦労してるのか~」と問題点がわかったりします。
また変な偏見を正す良い機会にもなります。
私がタイに行く前は、「タイの田舎って、裸足で歩いて手で食事して、わらを屋根に敷き詰めた『掘っ立て小屋』的なところに住んでるのか」と思ってました。でも、実際に行ってみたら、日本の地方とさほど変わらない生活レベルで驚いたのを覚えてます。歴史の教科書の中にある写真にダマされていたんです。
帰国してから名著「FACTFULNESS」を読んで、著者の主張に激しく同意しましたよ。
思い込みって怖いですね。
国際交流で最初に行った国をきっかけに、そこから世界各国にも興味を持つようになるといいですね。
海外を経験したことない人にこそ参加を強く勧める理由

英語学習のモチベーションがアップする
今まで、「英語」って先生から無理矢理やらされてた感ありませんでしたか?
自分で学習するにしても、「まわりが英語はやっとけって言うから…」という消極的な理由で学習してませんか?
国際交流に参加すると、必ず英語ができなくて困る場面に遭遇します。その時の経験が、英語学習を「自分ごと」へと変えてくれます。こうなった人は、実際に「英語が使える」ことに価値を見いだし、単にTOEICや英検で高得点をとることだけを目的に勉強する「点取り虫」にはなりにくいです。
英語は道具(ツール)であることに気づくんですね。
外国の人と話すことへの恐怖感が薄まる
これは上でも強調しました。
1~2週間の短期だと、完全に恐怖感が無くなるところまでは行かないかもしれません。でも、少しでも恐怖感が薄まってくれれば、上出来だと思います。
道で困っている外国人がいたら話をきいてみましょう。
観光地で外国からの旅行者を見かけたら話してみても良いでしょう。
そのくらいはできるようになっているはずです、きっと。若い年代同士の方が話しかけやすいですよ。
外国の人を「得体の知れないもの」とみなして怯えていたら、国際社会で活躍できる人間にはなれないです。
安心してください。彼らはサイボーグでも宇宙人でもなく、私達と同じ人間ですから。
まとめ

最近の高校・大学で活発に行われている「短期の国際交流や1, 2週間の超短期留学」のねらいについて、私の思うところを好き勝手に書きました。
教員時代に思っていたことを、ここに吐き出した感じです。
※私は英語の教員ではありませんでしたので、この手の専門家ではありません。
「英語上達に意味ないのか?」については、私は直接的には意味ないと考えてます。
そんな短期間で英語力が一気にUPすることはあり得ません。
ただし、人によっては、学習のモチベーションUPを通して、間接的には英語上達に役立つとも思っています。
今はコロナ禍で海外渡航がどこも禁止になっていますから、貴重な海外体験ができない「ここ数年間で卒業してしまう高校生・大学生」を気の毒に思ってます。
海外渡航が解禁になったら、国際交流に積極的に参加して、若いうちから国際社会とのつながりを意識できる人間になって欲しいです、と過去の自分に伝えたい。。。
後悔先に立たず、なう。